『書きます!#観劇レビュー』

鑑賞した舞台のレビューをただただ書き残していきます!

『ニンゲン御破算』を観劇した感想(ネタバレあり)

第31回目のレビューは、松尾スズキ作・演出『ニンゲン御破算』です。

 

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大人計画主宰の松尾スズキさんが中村勘三郎さんのために書きおろした作品を15年ぶりに再演、しかも、当時主演の勘三郎さんの役を今回は阿部サダヲさんが演じております。

 

大人計画の作品ではほぼ見ない時代劇ものの舞台。

 

勘三郎さんのために書き下ろしたということもあって、歌舞伎のような古典要素がたくさん盛り込まれていました。実際の歴史上の人物や歴史的事件をストーリーに組み込み、ひとつの時代劇エンターテインメント作品に昇華した、松尾さんの発想力に感動しました。

 

 

阿部サダヲ主演版「ニンゲン御破算」

 

 

 

今回の主役、芝居に魅了され歌舞伎の戯作者を志す”加藤実之介”というキャラクターを阿部サダヲさんが演じています。

 

この方の演技は唯一無二。しなやかで、かつパワフルに、どんな役でも魅力的に演じられる大好きな役者さんの一人です。

 

今回の役はほぼ出ずっぱり&喋りっぱなしの大変な役どころ。

 

実之介は自分の書いた歌舞伎の脚本を人気狂言作家の鶴屋南北(松尾スズキ)に読んでもらい、弟子入りを志願するというシーンから始まり、「鶴屋南北に作品を読んでもらっている世界」と、自分の書いた「作品の中の世界」の二つの世界が並列に進んでいるという面白い展開でした。

 

そのため、阿部サダヲさんはこの二つの世界を行ったり来たり。どちらの世界も加藤実之介というキャラクターは変わらないのですが、セリフも多いし、展開もとにかく早くて、出ていないシーンがほとんどありません。その分、阿部サダヲという役者のパワーを感じられる喜びで胸が熱くなりました。

 

 

 

ぶっ飛び時代劇エンターテインメント

 

 

  松尾さんの描く世界観が好きで、作・演出を手掛けられる舞台はよく観劇しています。

今回も、ステージに沢山の驚く仕掛けがありました。

 

ステージ上には邦楽の演奏者の方々がおり、シーンに合わせて生演奏が行われ、時代劇の雰囲気をより一層盛り上げておりました。

 

(阿部サダヲさんと岡田将生さんが2016年ダブル主演した、松尾スズキさん作・演出「ゴーゴーボーイズ・ゴーゴヘブン」でも同じくステージ上で邦楽を演奏していました。)

 

 

 

そして驚いたのが、ステージ左右に二つ、プールのように水を張っているセット。

 

そこに演者が落ちたり、飛び込んだり、はたまたそこから出てきたり!

舞台において、水を使った演出はあまり見ないのですが、ここまで大量の水、というかプールを演出に取り入れてしまうとは驚きです。

 

 

水しぶきがあがる舞台というのも珍しいですし、全身ずぶ濡れの役者が出てくるのもかなり新鮮で、観ていて面白かったです!

 

 

 

豪華で個性的な役者陣

 

 

 

とにかく豪華で個性的な役者が勢ぞろいの贅沢な作品でした。

 

15年前に阿部サダヲさんが演じていた、侍に憧れるマタギの”灰次”を今回は岡田将生さんが、そして灰次の兄を荒川良々さん、その兄弟の幼馴染”お吉”を多部未華子さんが演じておりました。

 

そして脇を固めるのが大人計画の面々。

 

皆川猿時さん、平岩紙さん、杉村蝉乃介さんなどなど。

阿部サダヲさんを筆頭に、アドリブ入れまくって、本筋と違うところで時間延びるし、大人計画の面々のアドリブに翻弄されて笑いをこらえきれていない岡田将生さんと多部未華子さんが何とも可愛らしいし、とにかく笑いました。

 

 

3時間超えの大ボリューム超大作です!

7月1日の東京公演の後は、大阪公演がございますので気になっている方はぜひ。

とにかく、凄いもの観た!という気持ちになります!

 

 

 

【公演情報】

 

 

 

シアターコクーン・オンレパートリー2018 「ニンゲン御破算」

 

 

作・演出 松尾スズキ

 

出演:阿部サダヲ、岡田将生、多部未華子、荒川良々、皆川猿時、小松和重、村杉蝉之介、平岩紙、顔田顔彦、少路勇介、田村たがめ、町田水城、山口航太、川上友里、片岡正二郎、家納ジュンコ、菅原永二、ノゾエ征爾、平田敦子、松尾スズキ ・・・etc

 

 

 

東京公演:2018年6月7日(木)~7月1日(日)  Bunkamuraシアターコクーン

 

大阪公演:2018年7月5日(木)~7月15日(日)  森ノ宮ピロティホール

 

 

観劇日:2018年6月23日(土)18:30公演