若者による若者のための観劇レビュー

23歳が、23歳なりの視点で、同年代の若者に舞台の素晴らしさを、鑑賞した舞台のレビューを通して伝えていきたいブログです

『AMADEUS』を観劇した感想(ネタバレあり)

第21回目のレビューは、松本幸四郎さん主演の『AMADEUS』です。

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アマデウスは1982年の日本初演以来、幸四郎さん主演で何度も再演がなされ、上演450回を迎える傑作です。

 

 

1982年……私の生まれるだいぶ前から上演され続けている作品と思うと、どれだけ長い間人々に愛されている作品かということが分かります。

 

 

 

今回の上演で、幸四郎さんは『最後のアマデウス』と公言されており、非常に注目されております。

 

 

 宮廷作曲家として地位や名誉を獲得していたサリエーリ。

そして彼の前に現れた天才音楽家”モーツァルト”との確執や葛藤を描いた作品です。

 

 

努力の凡人 サリエーリ 

 

 

音楽の才能が自分よりも秀でているモーツァルトに対して、様々な方法で彼に勝とうと躍起になるサリエーリ。生まれ持った才能を持つモーツァルトに対して、彼は努力しても報われない。どんなに努力しても天才に勝つことのできないサリエーリは、いつまでも拭うことのできない悲壮感に満ちておりました。

 

 

サリエーリは天才に限りなく近い努力の凡人、一方でモーツァルトは天才だけれど若いこともあって幼稚で常識知らず。

 

 

そんな全く異なる二人の音楽家の対比がとても面白く演じられておりました。

 

 

 

モーツァルトに対して一生拭うことのできない敗北感に苛まれ、最後には殺意にまで発展してしまったサリエーリの感情の波が私たち観客にまで押し寄せてきたのです。

 

 

音楽を理解しているからこそモーツァルトの才能を評価せざるを得ない、モーツァルトには絶対に敵わないことを理解してしまっているからこそ、自分が神に選ばれた人間ではないことを受け止めるしかない。モーツァルトに対する屈辱や嫉妬や悪意の念がいくつも混ざり合って、一言では語り切れない感情の渦にサリエーリは飲み込まれたのです。

 

 

 

しかし、人間としての”妬み”や”嫉み”という、誰しもが持っている感情を描いている作品だからこそ、私たちは努力の凡人、サリエーリに共感してしまうのかもしれません。

 

 

 

サリエーリを演じる幸四郎さんは受け手のシーンが多く、そしてその状況を私たち観客に説明しつづけるため出ずっぱりでした。そして圧倒的な存在感で、モーツァルトを追いつめていくのです。

 

ここまで一人の役者が舞台上に居続ける作品は、記憶の限りですが観たことがありません。舞台の幕が下がるまでの約2時間半、ずーっと私たちに語りかけてくるのです。

 

 

 

ストーリーは老人のサリエーリが私たちに自分の過去を話し始める場面から始まります。そして、約40年前彼がまだ宮廷作曲家として活躍していた頃に移ります。幸四郎さんは老人の頃と40年前のサリエーリを演じ分けるのですが、仕草はもちろん、全く異なる喋り方で演じ分けておられ、声だけでも年齢を感じとることができました。

 

 

 

幼稚かつ傲慢な天才 モーツァルト 

 

天才的な才能を持ちながらも幼さや純粋さ、傲慢さも併せ持つモーツァルトを演じているのが、ジャニーズWEST桐山照史さん。桐山さんは朝ドラ「あさが来た」にも出演されており、ジャニーズの中でも演技派なイメージを私は持っています。

本作品のモーツァルトは、第1幕はとにかく幼稚で傲慢で、これでもか!と舞台上をかき乱すようなキャラクター。発する言葉も下品なものが多く、ジャニーズという枠をいい意味で壊している・・・(笑)そのため、そのギャップがかなり面白く感じました。

しかし、第2幕になるとキャラクターが一転。サリエーリの思惑によって幸福な人生から転落したモーツァルトは、仕事を失ったうえに病気を抱え、妻や子供にも出ていかれるという散々な日々。第1幕のきゃっきゃと騒いでいたモーツァルトは一体どこに行ったのか・・・。あまりにも1幕と2幕でキャラクターの描かれ方が大きく変わるので、桐山さんの演じ分けにとても驚きました。どちらもかなりの熱量が必要ですし、同一人物とは思えないくらいでした。

 

 

舞台のラスト、サリエーリとモーツァルトがお互いに神経をすり減らしながら対峙するシーンは、息をするのを忘れるほど痺れました・・・。

相手を破滅させようとする人間の姿、そして極限まで追いつめられた人間の姿。

どちらも見てはいけない人間の根幹を見ているようで、胸が張り裂けそうでした。

 

 

サリエーリがモーツァルトの素晴らしい才能に翻弄される人生を描いた本作品は、人間の弱い部分を映し出した、どこか他人事とは思えない苦しい作品でした。

 

 

私が観劇した日はカーテンコールが4回もあり、最後はスタンディングオベーション。私の観劇経験において、スタンディングオベーションまで起こった作品は2、3作ほどしかないのですが、本作品はその賞賛に値する素晴らしい作品でした・・・!

そして、幸四郎さん、桐山さんの素晴らしい演技をこの目で観ることができて、演劇鑑賞の素晴らしさを再確認したのでした・・・!

 

 

 

熱く語ってしまい、かなりの大作レビューになってしまいました・・・(汗)

アマデウスは地方公演もありますので是非足を運んでみてください!

 

 

 

【公演情報】

 

 

『AMADEUS』

 

出演者:松本幸四郎桐山照史大和田美帆・・・etc

 

 

 

東京公演:2017年9月24日(日)~10月9日(月・祝) サンシャイン劇場

大阪公演:2017年10月13日(金)~10月22日(日) 大阪松竹座

福岡公演:2017年10月24日(火)~10月25日(水) 久留米シティプラザ

 

観劇日:2017年10月4日(水)18:00公演