若者による若者のための観劇レビュー

24歳が、24歳なりの視点で、同年代の若者に舞台の素晴らしさを、鑑賞した舞台のレビューを通して伝えていきたいブログです

舞台『サメと泳ぐ』を観劇した感想(ネタバレあり)

第34回目のレビューは、田中哲司×田中圭W主演の舞台、『サメと泳ぐ』です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20180904212547j:plain

 

本作は、ハリウッド映画界の裏側を描いたブラックコメディです。

 

 

上演時間は3時間という、ストレートプレイの中でもかなりの大作でした。映画界を舞台に、それぞれの登場人物が抱える欲望や思惑を手に入れるため、究極の騙し合いが壮絶に繰り広げられました。

 

 

大物プロデューサーの”バディ”と新人アシスタントの”ガイ”

 

 

 

性格は最悪だが、数々の映画をヒットさせてきた大物プロデューサーの”バディ”を演じたのは、田中哲司さん。ひときわ舞台上で大きな存在感を放っていました。

わがままで傲慢で横柄な態度、だけど映画界では頭の切れる存在である”バディ”というキャラクターに説得力がありました。

 

 

映画好きで脚本家を夢見て上京し、バディの新人アシスタントとして彼の下で働き始めた”ガイ”を演じたのは田中圭さん。

バディに毎日のように侮辱的な言葉を浴びせられながらも、彼の無理難題に必死に応えようとする純朴なガイをとても繊細に初々しく演じておりました。

 

 

以前から田中圭さんの演技が大好きで、彼の出演している舞台はほとんど観劇しています。

 

今回も作品の最初と最後で全く性格が異なる、振り幅の大きな役柄でした。

 

”ガイ”という青年が追い込まれていく様を様々な表情で魅せ、落ちてでも這い上がる雄々しい一人の男を美しく演じていたのが印象的でした。耐えて、裏切られて、耐えて、そして最後には暴走する感情がなんとも恐ろしくリアルで、ふと微笑む笑顔に狂気性を感じました。

 

 

それぞれの思惑。究極の騙し合い。

 

 

 

物語の前半はバディとガイとの関係性が、彼らの仕事を通して描かれていました。

気に入らないことがあったらすぐ怒鳴り、物を投げつけるバディ。バディからの酷い振る舞いにひたすら耐えるガイ。絵に描いたようなパワハラを見せられているのであまりいい気分ではありませんでした(笑)

 

 

そこに現れる一人の女性。

 

バディに新作の映画企画を売り込みに来た映画プロデューサー、”ドーン”。男の世界で駆け上がっていく強い女性”ドーン”を野波麻帆さんが演じておりました。

 

野波さんの喋り方がドーンにぴったりで、一度決めたことは曲げない意志の強さが、喋り方から伝わってきます。

 

ガイとドーンはのちに恋人関係になりますが、その関係すら危ぶまれる計画をバディは動かし始めます。

 

 

 

物語の後半は、騙し合いや裏切りがメインです。

 

 

自分の私利私欲のために、ガイやドーンを利用しようとするバディの目が印象的でした。

言葉とは、人の心をいとも簡単に動かしてしまう、恐ろしい武器だと痛感します。

 

物語の後半になるにつれて、ガイの心の中に止められない感情が生まれてきます。

そして、なんと、ガイはバディを「殺そう」と決意するのです。

 

 

 

拘束されたバディと狂気性に満ち溢れた別人のようなガイ、二人が対峙するシーンはかなり痺れました。

 

 

薄暗い照明の中、フードを被り拳銃を突き付けるガイにはバディへの憎しみしかなく、何か少しのきっかけで引き金を引いてしまうのではないかという緊張感がありました。

 

薄く笑みを浮かべながらバディを痛めつけるガイの姿は楽しんでいるようで、瑞々しい毒と狂気にまみれながら、純粋で美しいガイを田中圭は全身全霊で演じておりました。

 

 

 

前半と後半で作品の雰囲気が変わり、かつ、テンポ感よくストーリーが進むので、あっという間の3時間でした。

 

 

 

ジャズと照明

 

 

 

骨組みが少し見えているようなセットで、2階建てにすることで上下に動きのある演出でした。

 

 

ジャズやクラシックが場面展開における一種のスパイスように使われ、場面が変わるごとにテンポの良いジャズが大音量で流れて次のシーンへ進むという、スピード感のある転換でした。ジャズが流れると同時にカラフルな照明が舞台上を照らし、ある種の”アメリカ映画っぽさ”のようなものも感じました。

 

 

重たいテーマですが、人間同士の心理ゲームを見ているかのようで、現実のような非現実を味わいました。

 

 

公演数はあまり多くはないですが、本作は地方公演があります!

 

皆様ぜひ見に行ってみてください!

 

 

 

【公演情報】

 

 

関西テレビ放送開局60周年記念 「サメと泳ぐ」

 

原作:ジョージ・ホアン

 

演出:千葉哲也

 

出演:田中哲司田中圭野波麻帆、石田佳央、伊藤公一、小山あずさ、千葉哲也

 

 

東京公演:9月1日(土)~9月9日(日) 世田谷パブリックシアター

仙台公演:9月11日(火) 電力ホール

兵庫公演:9月14日(金)~9月17日(月・祝) 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール

福岡公演:9月20日(木)~9月21日(金) ももちパレス

愛媛公演:9月28日(金) 松山市総合コミュニティセンター キャメリアホール

広島公演:10月4日(木) JMSアステールプラザ 大ホール

 

 

観劇日:2018年9月2日(日)18:00公演

    2018年9月9日(日)13:00公演  東京千秋楽

『コインロッカー・ベイビーズ』を観劇した感想(ネタバレあり)

第33回のレビューは、音楽劇『コインロッカー・ベイビーズ』です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20180729234742j:plain

 

本作は2年ぶりの再演で、主演は前回に引き続きA.B.C-Zの橋本良亮さんと河合郁人さん。

 

 

しかも今回は公演期間を分けて二人がそれぞれハシとキク両方の役を入れ替えて演じるという上演です。

 

 

 

対照的なハシとキク

 

 

 

本作の主人公は二人の少年です。

 

 

ハシとキクと呼ばれている彼らは生まれてすぐコインロッカーに捨てられ、唯一生き残った孤児たち。兄弟ではないが、養父母に兄弟として引き取られ、育てられました。

 

そんなハシとキクは性格が正反対。

 

ハシは内気で口数も少なく気弱、一方キクは反抗的かつ暴力的。

正反対だけど、誰よりも相手のことを知っている、唯一心を許せる相手。

 

 

公演の前半は、気弱なハシを河合郁人さん、暴力的なキャラクターであるキクを橋本良亮さんが演じました。

 

 

そして、後半公演では配役を入れ替えて、気弱なハシを橋本良亮さん、暴力的なキャラクターであるキクを河合郁人さんが演じました。

 

 

私は配役が入れ替わる前半後半どちらの公演も観劇したのですが、振り幅の大きい対照的なキャラクターをどちらも繊細かつ大胆に演じられていて、お二人の底知れない演技力に驚くばかりでした!

 

 

橋本さんのキクは、反抗的な性格の中にも時折優しさが見えるキク。

 

河合さんのキクは、橋本さんのキクと異なり、反抗的・強気というような要素が前面に出ているようなキク。

 

 

 

一方で、キクと正反対の性格、ハシを演じたお2人はというと、

河合さんのハシは、子供っぽさが時折見え隠れし、ナイーブな心の動きがより濃く描かれていたと思います。

 

そして、橋本さんのハシは、ハシの持つ優しさも表現しつつ、河合さんが演じられたハシよりも狂気性に満ち溢れ、後半になるにつれて精神異常者としての振る舞いが凄すぎて、鳥肌が立ちました。

 

 

前半のキャスティングは今回の上演が初で、後半のキャスティングは2016年の初演の際と同じキャスティングです。

 

それぞれキャラクターへのアプローチが少しずつ異なっていて、解釈の違いが演技に繋がってきており面白かったです。

 

 

音楽劇としてのコインロッカーベイビーズ

 

 

 

コインロッカーベイビーズの原作を読んだのですが、展開が早くて登場人物の心情変化も複雑で難しいという印象です。

その複雑さを音楽で表現し、音楽劇として魅せた点は非常に面白い演出だと思いました。

 

また、ハシは歌手という設定なので歌うシーンも多く、音楽劇として違和感なくコインロッカー・ベイビーズの世界観に入り込むことができます。

原作の象徴的なシーンや台詞はそのままに、場面転換が多い作品なのでとにかくスピード感がありました。

 

 

入れ替え制のキャストでどちらも観劇することができ、橋本さん・河合さんお2人のそれぞれの演技力の素晴らしさを噛みしめることができました!

 

 

【公演情報】

 

 

音楽劇「コインロッカー・ベイビーズ

 

脚本・演出:木村信司

 

出演者:橋本良亮(A.B.C-Z)、河合郁人A.B.C-Z)、山下リオシルビア・グラブ、秋山大河(MADE/ジャニーズJr.)、福士申樹(MADE/ジャニーズJr.)、ROLLY・・・etc

 

 

 

東京公演:2018年7月11日(水)~2018年7月29日(日)TBS赤坂actシアター

 

大阪公演:2018年8月11日(土)~8月12日(日)豊中市立文化芸術センター・大ホール

 

富山公演:2018年8月18日(土)~8月19日(日)オーバード・ホール

 

 

観劇日:2018年7月18日(水)18:30公演

    2018年7月29日(日)13:30公演  東京千秋楽公演

 

 

 

 

『アンナ・クリスティ』を観劇した感想(ネタバレあり)

第32回目のレビューは、「アンナ・クリスティ」です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20180729233625j:plain

 

本作品は、篠原涼子さんが13年ぶりに出演される舞台ということで非常に注目されております。

 

最初に感想を言いますと、非常に素晴らしかった。完全な私見ですが、ここ最近観劇したストレートプレイの中で一番良かったです!

 

出演者が少ない分、ひとりひとりの存在感が大きくかつ重要で、登場時人物の心情が濃く描かれていました。

 

だからこそ感情移入しやすく、そして、とにかく皆さんが大熱演で、物語にぐっと引き込まれました。

 

 

 

篠原涼子演じるアンナ・クリスティ

 

 

 

 

本作はノーベル文学賞受賞作家ユージン・オニール1921年に発表し、ピューリッツァー賞を受賞した傑作戯曲。

 

日本では初上演となる本作品。登場人物の複雑な心情を言葉巧みに描き、家族とは、恋人とは、そして自分自身の意味を問う作品です。

 

 

篠原涼子さん演じるアンナ・クリスティがとにかく妖艶で美しく、女性としての力強さや、また、孤独に対する恐怖心を乱暴な言動の裏に匂わせ、とても繊細に演じられていました。ひとつひとつの仕草がアンナという女性の過酷な生い立ちを想像させ、胸が痛みます。

 

 

私は観劇の際、どうしても役柄というよりかは”俳優の演技”として観てしまいます。しかし、篠原さんのアンナはアンナそのもので、”篠原さんの演技を観ている”というよりかは、”アンナの生き様を見ている”という感覚でした。あまりこういう感覚になったことがないので、私自身とても驚いていますが、それだけ篠原さんがアンナを大熱演されていたからだと思います。

 

 

アンナを取り巻く二人の男

 

 

 

アンナと15年ぶりに再会する父親はたかお鷹さん。

 

アンナに一目惚れして、アンナと恋に落ちる船乗りを佐藤隆太さんが演じられました。

 

 

たかお鷹さんの存在感、渋み、お見事でした。

アンナとの絶妙な距離感が言葉のトーンに含まれ、舞台上に漂うのです。

 

 

アンナの恋人となるマットを演じた佐藤隆太さんは、無骨で荒々しい男性を好演。

台詞もストレートかつ膨大で、エネルギッシュ。仕草や動きも乱暴ですが、アンナに魅了される男を表現豊かに演じられていました。

 

 

舞台の後半、アンナが抱えてきた苦しみが言葉となって吐き出されたとき、台詞のやり取りに緊張感が増し、それそれのキャラクターに感情のうねりが生まれました。

 

 

アンナの告白によってマットとの関係性が崩れ、その後、二人の葛藤が激しくぶつかり合う。

悶え苦しみながらも現実を受け入れようとするマットとアンナを演じるお二人がとにかく素晴らしかったです。

 

 

秀逸な演出と美術

 

 

 

酒場、船の上、部屋など、場面転換は多くはなかったですが、美術を作りこんでいないにも関わらず雰囲気をがらりと変えてしまった演出には驚きました。

 

転換では緞帳ではなく薄いカーテンを使って流れるように転換を行い、それぞれの場面に連続性を生み出していました。

 

霧やタバコの煙なども象徴的に使われ、無駄がなく素敵な演出だったと思います。

 

 

 

静かで流れるように、そして俳優さんの迫力ある好演が光る素晴らしい作品でした!

 

 

 

【公演情報】

 

 「アンナ・クリスティ」

 

 

作:ユージン・オニール

 

翻訳:徐 賀世子

 

脚本・演出:栗山民也

 

出演者:篠原涼子佐藤隆太、たかお鷹、立石涼子原康義福山康平、俵和也、吉田健悟

 

 

東京公演:2018年7月13日(金)~2018年7月29日(日) よみうり大手町ホール

 

大阪公演:2018年8月3日(金)~2018年8月5日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

 

 

観劇日:2018年7月26日(木)19:00公演

『ニンゲン御破算』を観劇した感想(ネタバレあり)

第31回目のレビューは、松尾スズキ作・演出『ニンゲン御破算』です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20180627204554j:plain

 

大人計画主宰の松尾スズキさんが中村勘三郎さんのために書きおろした作品を15年ぶりに再演、しかも、当時主演の勘三郎さんの役を今回は阿部サダヲさんが演じております。

 

大人計画の作品ではほぼ見ない時代劇ものの舞台。

 

勘三郎さんのために書き下ろしたということもあって、歌舞伎のような古典要素がたくさん盛り込まれていました。実際の歴史上の人物や歴史的事件をストーリーに組み込み、ひとつの時代劇エンターテインメント作品に昇華した、松尾さんの発想力に感動しました。

 

 

阿部サダヲ主演版「ニンゲン御破算」

 

 

 

今回の主役、芝居に魅了され歌舞伎の戯作者を志す”加藤実之介”というキャラクターを阿部サダヲさんが演じています。

 

この方の演技は唯一無二。しなやかで、かつパワフルに、どんな役でも魅力的に演じられる大好きな役者さんの一人です。

 

今回の役はほぼ出ずっぱり&喋りっぱなしの大変な役どころ。

 

実之介は自分の書いた歌舞伎の脚本を人気狂言作家の鶴屋南北松尾スズキ)に読んでもらい、弟子入りを志願するというシーンから始まり、「鶴屋南北に作品を読んでもらっている世界」と、自分の書いた「作品の中の世界」の二つの世界が並列に進んでいるという面白い展開でした。

 

そのため、阿部サダヲさんはこの二つの世界を行ったり来たり。どちらの世界も加藤実之介というキャラクターは変わらないのですが、セリフも多いし、展開もとにかく早くて、出ていないシーンがほとんどありません。その分、阿部サダヲという役者のパワーを感じられる喜びで胸が熱くなりました。

 

 

 

ぶっ飛び時代劇エンターテインメント

 

 

  松尾さんの描く世界観が好きで、作・演出を手掛けられる舞台はよく観劇しています。

今回も、ステージに沢山の驚く仕掛けがありました。

 

ステージ上には邦楽の演奏者の方々がおり、シーンに合わせて生演奏が行われ、時代劇の雰囲気をより一層盛り上げておりました。

 

阿部サダヲさんと岡田将生さんが2016年ダブル主演した、松尾スズキさん作・演出「ゴーゴーボーイズ・ゴーゴヘブン」でも同じくステージ上で邦楽を演奏していました。)

 

 

 

そして驚いたのが、ステージ左右に二つ、プールのように水を張っているセット。

 

そこに演者が落ちたり、飛び込んだり、はたまたそこから出てきたり!

舞台において、水を使った演出はあまり見ないのですが、ここまで大量の水、というかプールを演出に取り入れてしまうとは驚きです。

 

 

水しぶきがあがる舞台というのも珍しいですし、全身ずぶ濡れの役者が出てくるのもかなり新鮮で、観ていて面白かったです!

 

 

 

豪華で個性的な役者陣

 

 

 

とにかく豪華で個性的な役者が勢ぞろいの贅沢な作品でした。

 

15年前に阿部サダヲさんが演じていた、侍に憧れるマタギの”灰次”を今回は岡田将生さんが、そして灰次の兄を荒川良々さん、その兄弟の幼馴染”お吉”を多部未華子さんが演じておりました。

 

そして脇を固めるのが大人計画の面々。

 

皆川猿時さん、平岩紙さん、杉村蝉乃介さんなどなど。

阿部サダヲさんを筆頭に、アドリブ入れまくって、本筋と違うところで時間延びるし、大人計画の面々のアドリブに翻弄されて笑いをこらえきれていない岡田将生さんと多部未華子さんが何とも可愛らしいし、とにかく笑いました。

 

 

3時間超えの大ボリューム超大作です!

7月1日の東京公演の後は、大阪公演がございますので気になっている方はぜひ。

とにかく、凄いもの観た!という気持ちになります!

 

 

 

【公演情報】

 

 

 

シアターコクーン・オンレパートリー2018 「ニンゲン御破算」

 

 

作・演出 松尾スズキ

 

出演:阿部サダヲ岡田将生多部未華子荒川良々皆川猿時小松和重村杉蝉之介平岩紙顔田顔彦少路勇介田村たがめ、町田水城、山口航太、川上友里、片岡正二郎、家納ジュンコ、菅原永二、ノゾエ征爾、平田敦子松尾スズキ ・・・etc

 

 

 

東京公演:2018年6月7日(木)~7月1日(日)  Bunkamuraシアターコクーン

 

大阪公演:2018年7月5日(木)~7月15日(日)  森ノ宮ピロティホール

 

 

観劇日:2018年6月23日(土)18:30公演

『薔薇と白鳥』を観劇した感想(ネタバレあり)

第30回目のレビューは『薔薇と白鳥』です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20180616230830j:plain

 

本作品はHey!Say!JUMPの八乙女光・髙木雄也のダブル主演ということで注目されています。

 

世界で最も有名な劇作家シェイクスピアと、もうひとりの天才イギリス劇作家クリストファー・マーロウの奇妙な出会いや友情、それぞれの葛藤を描いた作品です。

 

彼らの出会いがそれぞれの人生を大きく動かし、そして、国家をも揺るがす巨大な陰謀に巻き込まれることとなるのです。

 

本作品は、マーロウとシェイクスピアの辿る運命を当時の史実と実際の演劇エピソードを織り交ぜて描き出した作品です。

 

 

田舎の出身でのちに天才演劇作家となる青年、ウィリアム・シェイクスピアを髙木雄也さん、同年代の劇作家として活躍していた青年クリストファー・マーロウを八乙女光さんが演じております。

 

 

同年代の二人の天才劇作家

 

 

史実では、マーロウとシェイクスピアにはこの舞台のような関係性はなかったそうです。しかし、脚本を書かれたG2さんの手によって、二人のライバルとしての関係・友情という新しい2人の物語を描き出されました。

 

マーロウとシェイクスピアは同い年の劇作家。しかし生い立ちも性格も全く異なります。そんな二人がひょんなことから出会い、奇妙な友情が芽生え始めます。

 

 

自己中心的で怒りっぽく、面白そうなことは後先考えずやってしまうような好奇心を持っているマーロウは、八乙女光さんが演じております。

 

いつも問題ばかり起こし周囲の人を困らせる、そんな破天荒なキャラクターですが、八乙女さんが全身全霊で演じておりました。

 

 

 

一方で、田舎の出身で大学にも出てない無学の青年だが、何でもするりとこなして周囲の人に愛され、のちに天才劇作家となったシェイクスピアを演じたのは髙木雄也さん。

 

マーロウとは違い、受けの芝居が多いキャラクターですが、ちょっとした表情や仕草も丁寧に演じており、シェイクスピアの心の奥にある執念のような、しっかりとした芯を感じさせつつ、繊細に演じられており、非常に上手でした。

 

 

 

マーロウとシェイクスピアの運命

 

 

 

ある事件をきっかけに一度は離れ離れとなった二人ですが、数年後、また再会します。

 

 

そしてそこから二人の運命が複雑に絡み合っていくのです。

 

作品の終盤、マーロウとシェイクスピアが己の運命と向きあい、互いに気持ちをぶつけ合うシーンがあります。

 

 

彼らが求める未来は同じなのに、しなければならないことが全く違う。

 

 

お互いの気持ちを相手にどんな言葉で伝えたらよいのか・・・。

 

シェイクスピアの任務、そして、マーロウの思惑。

 

 

お互いがライバルであり友人である二人の青年は心の叫びを言葉にし、魂と魂でぶつかりあう。

 

 

彼らの涙と汗がその熱量を物語っていました。観ていて苦しく、心打たれるシーンでした。

 

ふたりの圧巻の演技に、息を飲むほどの緊張感が会場中を包みました。そこには八乙女光高木雄也ではなく、己の葛藤と向き合おとする二人の若き劇作家がいました。

 

 

 

 

そして、注目すべきはもう一つ!

 

武田真治さん、佐藤B作さん、町田マリーさんら二人を取り巻く周りのキャストの方々がとにかく素晴らしいです!!!

 

周りの方々の演技の安定感があってこそ、主演である早乙女さん・髙木さん2人の荒削りな、若くてパワーみなぎる演技がより一層輝いていた、と私は感じました。

 

 

八乙女さん髙木さんの演技を観劇したのは初めてですが、難しく、かつ膨大なセリフ量である戯曲をしっかりと演じられていて素晴らしかったです。

非常に見応えのある作品でした!

 

 

 

【公演情報】

 

 

『薔薇と白鳥』

 

脚本、演出:G2

 

出演者:八乙女光、髙木雄也、武田真治町田マリー、本折最強さとし、有川マコト、林田一高、鹿野真央、佐藤B作

 

東京公演:2018年5月27日(日)~6月24日(日)  東京グローブ座

大阪公演:2018年6月29日(金)~7月1日(日) 森ノ宮ピロティホール

 

観劇日:2018年6月17日(土)18:00公演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『火花-Ghost of the Novelist-』を観劇した感想(ネタバレあり)

第29回目のレビューは、『火花-Ghost of the Novelist-』です。

 

 

f:id:kanazaaaaaawa:20180408192535j:plain

 

お笑い芸人ピースの又吉直樹さんの『火花』は、Netflixでドラマ化し、昨年には映画化もされましたが、今回とうとう舞台化されました!

 

小説の世界、と、作者の世界

 

 

まず、この舞台で驚きなのが原作者の又吉さんが出演しているということ。

『火花』の原作者であると同時に、この舞台の出演者として、原作者という役柄を演じている、という不思議な設定。

 

舞台上に原作者の又吉さんがいる。僕は原作者です、と言う。

そこに女優の観月ありささんが現れる。

観月ありささんは又吉さんに「火花」をください、という。

でも読んだことがないらしく、観月さんは『火花』を読み始める。

 

 

観月さんによって『火花』が語られ、登場人物が動き始める。

 

 

 

植田圭輔さん演じるスパークス徳永と、NONSTYLE石田さん演じる、あほんだらの神谷。

2人はどこまでも純粋で、まっすぐで、お笑いという世界でもがいてる。

まったく自分に嘘をついていない、そんな2人の姿が愛おしく、羨ましいとすら思いました。

 

小説の『火花』が目の前で繰り広げられた途中で、観月さんと又吉さんが出てきて、

小説の世界ではなく、作者の世界というか現実の世界(正確に言うと現実でもないですが・・・)に戻ってきます。

 

なかなか不思議な感覚です。

小説の中と外、ふたつの側面から『火花』を読んでいる感覚になりました。

 

 

徳永と神谷

 

 

『火花』の主人公である若手芸人の徳永は、若手俳優植田圭輔さん。

徳永が弟子入りする先輩芸人、あほんだらの神谷はNONSTYLEの石田さん。

石田さんは舞台にも多数出演しており、演技に定評があります。普段テレビで見るようなNONSTYLEの明るい漫才キャラクターとは打って変わり、あほんだらの神谷は破天荒で身なりも発言も尖ってる。

 

そんな神谷を石田さんは見事に演じ切っていました。

本当に凄い。喋り方や歩き方やちょっとした仕草まで、神谷さんにしか見えなかった。。。

 

 

石田さんはアドリブもふんだんに盛り込んでいて、終始演者さんを笑わせていました!

同じ舞台でも毎回違ったセリフがあったり、何回行っても楽しいんだろうな~と(笑)

 

 

石田さんの出演している舞台はほとんど観ているのですが、毎回濃いキャラクターを演じ切っていて、演技力素晴らしいなと思いました。

 

 

 

そして、徳永を演じている植田さん。

弱々しい風貌や、神谷への尊敬を、繊細な演技で演じていました。

 

 

 

スパークスの解散

 

 

徳永のコンビ、スパークスは解散することとなります。

相方の山下が結婚し、子供を授かったからです。コンビの解散は胸が苦しくなります。

 

 

スパークス解散前最後の漫才。

 

舞台上で最後の漫才をする2人。私たちはその瞬間から、『火花』を観劇しに来たお客さんではなく、スパークスの解散ライブを観に来たお客さんになります。

 

 

この漫才を観ている間、客席からは泣いている音、鼻をすする音が響いていました。

あんなにお客さんが泣いている舞台って今までなかったんじゃないかっているくらい皆泣いていました。お客さんも、スパークスも。

 

徳永の相方、山下を演じているのはお笑い芸人井下好井の好井さん。好井さんはNetflixのドラマでも山下を演じています。

ドラマの解散前の漫才も好井さん号泣しているんですけど、今回の舞台でも号泣していて。

泣き方が本物のようで。。。本当のコンビが本当に解散するときの涙のようで、私もつられてしまいました・・・。

 

 

役者ですね。芸人ですけど、凄い役者です。

 

 

 

 

舞台『火花』

 

 

 

 作中には登場しない、女優観月ありさが「観月ありさ」役としてストーリーテラーのように物語を進める一方、神谷の彼女「真樹」役として小説の中に登場したり、原作者の又吉さんが『火花』について話したり、小説を読むより深くまで『火花』の世界観を感じられる舞台となっていました。

 

 

 

5月には大阪公演もございます。皆様もぜひ行ってみてください!

 

 

 

 

【公演情報】

 

『火花-Ghost of the Novelist-』

 

原作:又吉直樹「火花」

 

出演者:観月ありさ植田圭輔石田明好井まさお又吉直樹・・・etc 

 

東京公演:2018年3月30日(金)~4月15日(日)  紀伊国屋ホール

大阪公演:2018年5月9日(水)~5月12日(土) 松下IMPホール

 

観劇日:2018年4月8日(日)14:00公演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大人計画『さらば!あぶない刑事にヨロシク!』を観劇した感想

第28回目のレビューは、大人計画『さらば!あぶない刑事にヨロシク!』です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20180408001646j:plain

 

2016年に上演された「あぶない刑事にヨロシク!」の続編となる本作。

 

大人計画のメンバーによる、はちゃめちゃコメディーです!

 

 

 

皆川猿時荒川良々という怪物

 

 

 

とにかくこの二人の魅力にあふれた、二人の演技を存分に堪能できる本作。

 

設定もストーリーもはちゃめちゃで破天荒!でも、一つの作品として非常に魅力的な作品に仕上がっていました。

 

 

最初から最後までずっと笑っていた記憶しかありません。ただひたすらに面白い、それだけです!

 

 

皆川さんと荒川さんはバディとして事件を解決していきます。しかし、あぶない刑事のタカとユージようなバディ・・・にはならず、荒川さんの破天荒っぷりに終始引っ掻き回される皆川さん。

 

 

引っ掻き回される皆川さんがとっても大変そうなんですけど、見てて可愛らしいんですよね。破天荒な荒川さんもどこか憎めないというか・・・(笑)

 

 

2人で相撲をとったり、壁ドンしたり、歌ったり踊ったり・・・。

 

全く予期していないタイミングで予期していないことが起こり、どう展開していくのかがさっぱり分からないので、ずーとワクワクしていました。

 

 

観客参加型

 

 

今まで観劇した作品のなかで一番参加型な作品だったのではないかと思います。

 

 

荒川さんに「起立!」と言われて観客全員立ち上がったり(笑)、小道具が3つも配られたので劇中の様々なシーンで使用して参加しました。

 

 

 

演者の方々がステージから降りて、客席内を歩いたり走ったりするシーンもとても多く、近い距離感で観劇できたのが楽しかったですし、一緒に作品を作り上げている感覚があって、とても不思議な感覚でした!

 

 

 

個性派俳優集結 

 

 

皆川猿時さんと荒川良々さんはじめ、出演者全員のキャラクターがとてつもなく濃かったです。

 

 

大人計画池津祥子さん、近藤公園さん、杉村蝉乃介さん、とそうそうたる個性派メンバー。

 

 

また2年後くらいに続編を上演してくれないかなぁ・・・なんて淡い期待をしています!

 

 

【公演情報】

 

 

『さらば!あぶない刑事にヨロシク』

 

 

出演者:皆川猿時荒川良々池津祥子、杉村蝉乃介、近藤公園上川周作、早出明弘、本田ひでゆき、河原雅彦

 

 

公演日:2018年3月16日(金)~4月1日(日) 本多劇場

 

 

観劇日:2018年3月30日(金)19:00公演