若者による若者のための観劇レビュー

23歳が、23歳なりの視点で、同年代の若者に舞台の素晴らしさを、鑑賞した舞台のレビューを通して伝えていきたいブログです

『スマートモテリーマン講座』を観劇した感想(ネタバレあり)

第26回目のレビューは、約5年ぶりの再演となる「スマートモテリーマン講座」です。

 

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演出家 福田雄一×安田顕の最強タッグによる公演ということでも非常に注目されております。

 

本作は、自称モテるサラリーマン“モテリーマン”が、モテるサラリーマンになるためのレクチャーを講座形式でお届けするコメディー作品です。

そして私たち観客は、モテリーマン講座の受講生となってモテ術を学びます。

 

今回の福田演出も決して期待を裏切らず、高い期待を軽々と超えていく面白さ!

パロディーしまくり、アドリブ入れまくりの全部乗せ増し増し大ボリュームでした。

 

キャラクターの濃い俳優陣

 

 

戸塚純貴演じる冴えないサラリーマン青年が、若月佑美演じる女性社員に恋をし、その恋を成就すべく奮闘する姿をモテリーマンが解説しながら話は進んでいきます。

しかしモテリーマンのアドバイスはどこか抜けていて、あまり参考にならないものばかり。ですが本人はいたって本気。全力で私たち受講生にモテ術をレクチャーしてくれます。

 

そのモテリーマンを演じたのはTEAM NACSの安田顕さん。

安田さんの個性的なモテリーマンは笑っちゃうに決まってます!

 

テリーマンのキャラクターは大ボケですから、やはりツッコミがとても重要。

 

そのツッコミ役を担っていたのはお笑いコンビ“シソンヌ”の長谷川さん。

 

私、シソンヌ大好きなんです。なので、この作品に出演されると聞いたときはとても嬉しかったですし、観終わったあともこの作品には必要な人たちだったと感じました。

 

 

もちろんシソンヌのボケ、じろうさんもかなり存在感がありました。

シソンヌの単独ライブ来たのかな?と錯覚するほど彼らが舞台上にいなくてはならない。長谷川さんのツッコミやじろうさんの変幻自在なキャラクターで笑いがどっかんどっかん起きるシーンが沢山あり、シソンヌ好きとしてはたまらなかったです(笑)

 

福田さんによる福田さんにしかできない演出

 

 

そしてなんといっても何よりも見どころは福田さんの演出!

 

突拍子もなくパロディーの要素盛り込んだり、しかもクオリティの低さがなんとも絶妙で笑ってしまうのです。

 

少年ジャ○プの某人気キャラクターや、世界的に大人気の黄色いキャラクターが大量に出てきたりと福田節炸裂です。

 

アドリブもかなり多く、結果、公演時間が予定より15分伸びてました(笑)

 

ずーっとコントを見ているような感覚になるほど笑いの止まらなかった本作。なんともサービス精神豊富な大満足の内容でした。

 

 

【公演情報】

 

 

『スマートモテリーマン講座』

 

脚本・演出:福田雄一

 

出演:安田顕、戸塚純貴、若月佑美乃木坂46)、水田航生、シソンヌ(長谷川忍・じろう)、ブラボーカンパニー(山本泰弘・太田恭輔・金子伸哉・野村啓介・保坂聡)

 

公演日:

東京公演 11月2日(木) かめありリリオホール

青森公演 11月15日(水) 弘前市民会館

北海道公演 11月18日(土)~19日(日) 道新ホール

宮城公演 11月23日(木) 仙台電力ホール

愛知公演 12月6日(水) ウインクあいち 大ホール(愛知県産業労働センター

静岡公演 12月12日(火) 静岡市清水文化会館マリナート 大ホール

東京公演 12月15日(金)~30日(土) 天王洲 銀河劇場

 

観劇日:2017年12月22日(金)19:00公演

『管理人』を観劇した感想(ネタバレあり)

第25回目のレビューは、ノーベル文学賞受賞作家である劇作家、ハロルド・ピンター作「管理人」です。

 

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日本での上演はあまり無いそうですが、代表作と言われている本作品。

 

劇場は三軒茶屋にある“シアタートラム”

客席数が200ほどしかない小さな劇場で上演されました。

舞台と客席との距離が近い、素敵な劇場です。

 

三人芝居

 

 

舞台はアストンが住んでいる部屋。遠近法を用い、奥行きを表現したセットが秀逸でした。

部屋は殺伐としていて、アストンは必要のないようなものを拾い集めては部屋に置いているそうで、物で溢れかえっていました。

 

登場人物は温水洋一さん演じる老人デーヴィスと若い兄弟、溝端淳平さん演じるミックと忍成修吾さん演じるアストンの三人だけ。

 

若い兄弟と老人とのなんとも奇妙な関係が、濃密な会話を通して描かれます。

 

世の不条理さや人間の醜さが強く描かれ、それぞれの抱えている思いが言葉の洪水となり溢れ出ていました。

 

兄のアストンはゆったりした口調で、職を失って困っていた老人デーヴィスを部屋に泊めてあげるほどの優しさを持っている青年。話し方や歩き方に特徴があり、過去に起こったとある事件によって障害を負っていることが後半明らかになります。

 

老人デーヴィスとアストンの会話はちぐはぐで、成り立ってないような、でも成り立っているような、不思議で緊張感のある空間が続きました。

 

そんな緊張感を破り、溝端淳平さん演じるミックが登場します。そんなミックもまた、老人デーヴィスと不思議な関係となっていくのです。

 

アストンとミック兄弟の関係も独特で、彼らは目が合っても会話ひとつしません。ミックが部屋に入ってくるとアストンは出ていってしまうほど。ミックはそんなアストンに対して少し不満があるようです。

 

アストンとミックはある日、老人デーヴィスに「この部屋の管理人にならないか?」とそれぞれが持ち掛けました。もちろん二人がその言葉を言った目的は異なっているのですが・・・。

 

その言葉をきっかけに、今まで何とか保ち続けていた三人の均衡が崩れ始めるのです。

崩れ始めるのは簡単だが、元に戻すことは困難。

 

それぞれの秘めた思いがろうそくのようにじわじわ溶け始め、流れていきます。

 

弱い者が弱い者をいじめている姿は見ていて心苦しい。人の弱さや醜さを感じました。

 

私たちは舞台上=部屋の中で起こっていることしか見ることができず、外の世界のことは彼らの会話からでしか読み解くことができません。彼らは頼りあうこともできず、雨が降り続いていることで外も長いこと出歩けないというような“閉塞感”を、全体を通して強く感じたように思います。

 

テンポの良い台詞が続き、同時に緩急のはっきりした三人の演技を通して、不条理劇である部分が後半強く描かれていました。逆に前半はクスっと笑ってしまうような愛くるしいシーンも沢山ありました。

 

最初から最後までたった三人しか出てこない芝居というものを初めて観劇しました。

 

しかし三人が舞台上にいた顔を合わせたシーンは少なく、老人とどちらかの兄弟の二人だけのシーンが多い印象です。

 

老人デーヴィスの長くて早口な言い回しが印象的で、ガサツで汚いキャラクターを温水さんが演じられていることにとても驚きました。あまりそういう印象がないもので・・・。

そして12月19日に発表された、紀伊国屋演劇賞にて個人賞も受賞されました!受賞された演技を目の前で観ることができて、貴重な経験をさせていただきました。

 

 

私は東京千秋楽公演をU-24チケット(東京公演のみ)で観劇しました。

U-24チケットは当日券が無いため先行申込が必要ですが、通常よりかなり低価格で観劇することができるので、24歳以下の方にはとってもおすすめです。

 

 

 

 

【公演情報】

 

 

『管理人』

 

 

出演者:溝端淳平忍成修吾温水洋一

 

 

公演日:

東京公演:2017年11月26日(日)~12月17日(日) シアタートラム

兵庫公演:2017年12月26日(木)~27日(金) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

 

 

観劇日:2017年12月17日(日)13:00公演

 

 

 

『髑髏城の七人 Season月 ~上弦の月~ 』を観劇した感想(ネタバレあり)

第24回目のレビューは、IHIステージアラウンドこけら落とし公演第4弾、劇団☆新感線『髑髏城の七人 season月 ~上弦の月~』です!

 

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客席回転型劇場「IHIステージアラウンド」のこけら落とし公演として、1年3か月にわたるロング公演を行う劇団☆新感線『髑髏城の七人』。

 

 

5つのシーズンに分けて上演する本作。その第4シーズンとして公演中の"Season月"は、異なるキャストで構成される「上弦の月」と「下弦の月」の2チームが交互に上演を行う、2チーム制となっております。

 

 

※これまでのシーズン公演レビューは以下に掲載しております。

「髑髏城の七人 Season花」を観劇した感想(ネタバレあり) - 若者による若者のための観劇レビュー

 

『髑髏城の七人 season鳥』を観劇した感想(ネタバレあり) - 若者による若者のための観劇レビュー

 

『髑髏城の七人 Season風』を観劇した感想(ネタバレあり) - 若者による若者のための観劇レビュー

 

 

超ワカドクロ

 

 

今回、私が観劇した“上弦の月”は、主人公の捨之介役を初舞台となる福士蒼汰さん、天魔王役を早乙女太一さん、蘭兵衛役を三浦翔平さん、兵庫役を須賀健太さん、極楽太夫役を高田聖子さん、狸穴二郎衛門役を渡辺いっけいさんが演じるほか、これまで「沙霧」の役名で演じられてきた少女役が「霧丸」という少年役となり、平間壮一さんが演じております。

 

史上最年少で捨乃助を演じる福士蒼太さんをはじめとして、天魔王役の早乙女太一さん、蘭兵衛役の三浦翔平さんも全員20代。

また、須賀健太さんも史上最年少での兵庫役であり、歴代の髑髏城の七人と比較して、“超ワカドクロ”などとも呼ばれています。

 

 

演出のいのうえさんもおっしゃっていたように、Season月は演者の年齢層に合わせ、“若気の至り”の部分が強く描かれておりました。

 

 

正しいと思ったことにまっすぐに突き進んでいく力強さ、情熱、勢い、というような若いからこそ持っているような力の部分がそれぞれのキャラクターに濃く打ち出されておりました。

 

 

舞台初挑戦の福士蒼太

 

 

初舞台で初主演の福士蒼太さんによる捨乃助は、今までの捨乃助像とは一味違った、男らしい力強い、新たなキャラクター像となっておりました。

 

若気の至りがSeason月のテーマとなっているように、自分の信じた道をひたすら進んでいくような真っ直ぐな捨乃助は、Season花・鳥・風の捨乃助とはまた違う魅力が満載!!!

 

初舞台とは思えないほど、どっしりとした存在感で、若さを存分に発揮した捨乃助はとってもかっこよかったです!

髑髏城の七人の見どころの一つといえば、立ち回りのシーン。

殺陣が非常に多く、かなりの運動量です。

 

私は本公演を初日に観劇したせいか、捨乃助の殺陣のクオリティが少々気になりました・・・。初日なのでしょうがない部分ではありますが・・・。しかし、これから徐々に素晴らしいものになっていくと感じました。

これから観劇される方はお楽しみに・・・!!!!

 

 

そして本作では、今まで沙霧として演じられてきた役が“霧丸”という少年役へと変わっている点が注目です。

上弦の月では、平間壮一さんが演じられております。

霧丸という役へ変わったことで、捨乃助との関係性が今までと大きく変わっています。

男と男の友情という部分が強く打ち出されており、霧丸は捨乃助の真っ直ぐな思いに付いていこうと決心するのです。

 

霧丸は天魔王を深く恨んでおり、天魔王への怒りで後先考えず行動してしまうようなキャラクター。天魔王へ復讐しようと髑髏党と何度も闘うんだけど、肝心なところでいっつもやられてしまう・・・(笑)

それがまた愛くるしいというか・・・。沙霧と同じセリフや動きの部分も多いですが、少年ならではのセリフもあり、意外と私は好きでした!!!

 

霧丸を演じられた平間さんは、以前から知っている俳優さんではあったのですが、演技をきちんと見たのは初めてで、とても細かな表情や仕草の部分まで繊細に演じられており、素晴らしかったです。霧丸の少年ぽさの部分もとても上手で、かなり適役だったのではと思いました。

 

 

早乙女太一による天魔王

 

新感線ファンの方がとても気になっているのが、天魔王を早乙女太一さんが演じられていることだと思います!

この“上弦の月”の大きな見どころのひとつです。

 

早乙女太一さんは2011年版の髑髏城の七人や、今年上演されたSeason鳥で蘭兵衛を演じられています。

そのため、今まで演じたことのない天魔王に挑戦されるということで、どのような天魔王になっているのか、とても楽しみにしておりました。

 

早乙女さんの殺陣は他の人と比べようがないほどがスピードが早く、圧倒的に美しい。

 

蘭兵衛は大立ち回りがあったのですが、天魔王は最後の捨乃助との直接対決のシーンくらいしか大きな殺陣のシーンがありません。

そのため、蘭兵衛を演じられていた時より、演出の都合上、美しい殺陣を拝見することができませんでした。それでも、殺陣のシーンはとても美しく、ずっと観ていたくなくなります。

また、天魔王としての存在感はとてつもなく、何を考えているのか分からないような冷酷さや天下統一への恐ろしいほどの執着心が見え隠れするような、今までの天魔王とはアプローチの異なる恐ろしさを持ったキャラクターでした。

 

 

 

 

大きく演出の異なったSeason月

 

 

今回は、いままでのSeasonとは演出がかなり変わっていたことに驚きました。

舞台セットなどは大きく変わってはいなかったのですが、超ワカドクロだからでしょうか、とにかく動きを多く取り入れた演出だったと感じました。

 

荒野から無界屋へ移動するシーンでは捨乃助が遊女を踊ったり、無界屋で関八州荒武者隊のメンバーが踊ったりと、とにかくにぎやかでした。

また、沙霧の時にはあったシーンが霧丸になったことで無くなっていたり、それに伴い、霧丸の殺陣のシーンが増えたり、捨乃助と天魔王の対決シーンの斬鎧剣での闘い方がかなり大きく異なっていたりと、これまでのSeasonを観ていたからこその違う髑髏城の七人の魅せ方が目の前で繰り広げられておりました。

 

 

 

また、来年3月からは髑髏城シリーズ最後の第5シーズンである、『修羅天魔』が上演されます。

この作品はこれまでの4シーズンとは異なり、捨乃助も蘭兵衛も出てこない、極楽太夫が主人公の、全く異なる髑髏城の七人となるそうです。

その極楽太夫を演じるのが、天海祐希さん。

極楽太夫と愛憎劇を繰り広げる天魔王が古田新太さん、が演じられます。

スピンオフ的な作品ではなく、まったくの新しい髑髏城ということなので、こちらも非常に楽しみです!!!

 

 

髑髏城の七人Season月は2018年2月21日まで上演しております。

 

人気公演のため、前売り券は完売しておりますが、当日券も毎日出ておりますし、チケット代は少々お高いですが、素晴らしい劇場で素晴らしい演目を観劇する絶好の機会です!

ちなみに上弦の月下弦の月と、交互での上演ですので、チケットを取る際はお間違いないようにお気を付けください!

 

 

【公演情報】

 

『ONWARD presents 劇団☆新感線 髑髏城の七人 season月』

 

 

出演者:

上弦の月】福士蒼太、早乙女太一、三浦翔平、須賀健太、平間壮一・・・etc

下弦の月】宮野守、鈴木拡樹、廣瀬智紀、木村了、松岡広大・・・etc

 

 

公演日:2017年11月23日(木・祝)~2018年2月21日(水) IHIステージアラウンド東京

 

 

観劇日:2017年11月23日(木・祝)18:00公演

 

 

 

 

 

 

 

 

『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』を観劇した感想(ネタバレあり)

第23回目のレビューは、『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』です。

 

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本作は、生田斗真×菅田将暉のダブル主演という豪華な顔ぶれな作品ということで非常に注目されております。

 

 

会場は世田谷パブリックシアター

座席数も約600席と少なく、全体的にステージとの距離の近い中劇場です。

 

 

大劇場じゃないからこそ生み出せる会場の独特な空気感と役者から直接伝わるパワーを感じました。

 

 

本作は、シェイクスピアハムレット」に端役として登場し、最後には「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」の一行で片付けられてしまった2人組”ロズとギル”を主人公にした、劇作家トム・ストッパードが書き上げたハムレット外伝です。

 

 

もちろんハムレットを知らない状態で観劇しても十分面白い作品ではあるのですが、ハムレットのスピンオフ的な作品のため、これから観劇される方はハムレットを読んでいくことを強くおすすめします。

メインストーリーであるハムレットを知っていることで、”ロズとギル”の置かれている状況や時間軸など理解度が高まり、より一層作品に没入できるのではないかと思います。

 

 

生田斗真菅田将暉によるロズとギル

 

ある日、ハムレットの学友であったローゼンクランツとギルデンスターンは国王に突如呼び出され、ハムレットの様子がおかしいので理由を探ってほしいと頼まれます。任務を遂行しようと躍起になる一方、本人たちの理解が追い付く前にどんどんとハムレットのストーリーは進んでいくのです。なすすべもなく、彼らは自分たちの運命に翻弄され、最後に待ち受けている”死”をただひたすらに待っているしかないのでしょうか。

 

 

最後には死に向かっていく殺伐とした哀しい物語のはずなのに、ブラックコメディとして描いている非常に面白い戯曲です。

 

 

ロズとギルのテンポの良い掛け合いにクスッと笑ってしまうシーンが満載で、そこが本作の大きな魅力のひとつとなっています。

 

 

数奇な運命を辿るローゼンクランツとギルデンスターンを演じるのが、生田斗真さんと菅田将暉さん。

 

ロズとギルはいつも一緒であり、自分の名前と相手の名前を間違えるほど。

そんな二人組を、様々なメディアに引っ張りだこの大人気俳優であるお二人が演じるということで、とても楽しみにしておりました。

 

 

何事にも直感的に動く”ボケ”担当のローゼンクランツを生田斗真さん、

物事を深く読み解き、状況を把握しようとする”ツッコミ”担当のギルデンスターンを菅田将暉さんが演じておりました。

 

 

2人ともセリフ量が尋常じゃない!!とにかく凄まじいです。

しかも舞台の幕が下がるまで、一度も舞台上からはけることがないのです。10分休憩が2回ありますが、第3幕まで計2時間半ずっと2人は会話を繰り広げ続けます。

 

 

生田斗真さんは声色や仕草の一つ一つまで意識してロズというキャラクターを構築しているように見てとれ、役者としてとにかく器用な方なんだなぁと。

 

菅田将暉さんはギルというキャラクターの性格上、論理的なセリフが多く、ロズのはちゃめちゃな発言を訂正するという役柄のため、とにかくセリフが多いのですが、終始早口で喋り続けるあのエネルギーに圧倒されました。

 

 

 

戯曲は哲学的であって、言葉遊びが多く、とても難しい。2人の会話は、幾重にも言葉が積み重なって層となり、混沌として話が全く進まないのです。同じようなセリフが多いなかでそれぞれの心情を汲み取り、真っすぐなエネルギーで斗真さんと菅田さんが丁寧に演じておられました。

 

 

 

2人を翻弄するハムレット

 

そんな二人のストーリーの裏では、ハムレットのストーリーが進んでいきます。主人公であるハムレット林遣都さんが演じております。

高尚であるはずのハムレットがロズとギル2人の視点から描かれているので、父上の亡霊と話をしているはずのハムレットが、亡霊とではなく独り言を言っていると思われていたりと、少しダサいキャラクターになっているというか・・・(笑)

本家とは違ったハムレット像となっていて、かなり面白かったです。

 

ちょっと調子に乗っている風の演技が林遣都さんにぴったりとハマっていました。

 

 

 

ロズとギル2人の旅路は人が生まれて死ぬまでの人生そのものだと、演出家の小川さんはおっしゃっています。それがどういうことなのか、この作品を観れば分かるはずです。

 

彼らは時が経つにつれて、自分たちが何をするべきなのかも、どこに向かうべきなのかも、自分が一体何者なのかも分からなくなります。

 

人はいずれ死ぬけれど、なぜ自分達がなぜ死ぬ運命なのか、悩んでも悩んでも分かりません。でもこの疑問は、人間が生きている限り付きまとう、答えのない永遠の疑問です。

 

ロズとギルの言葉は自分達に言い聞かせているようで、私たち観客に対して言っているように聞こえます。実際、私たち観客に対して声を荒げるようなシーンもあり、劇場という空間を利用して、2人のいる世界に引きずり込まれるのです。

 

 

戯曲ならではの演出

 

戯曲は演出によってイメージがかなり変わります。

 

今回の舞台上にはシンプルな大きい黒い階段があるだけで、セットというセットはありません。そして始まる直前までスタッフさんが舞台上では照明の点検をしていたり、掃除機をかけていたりしていたのですが、それすらも演出であって、今思うと、“そこからすでに舞台は始まっていた”のです。

 

開演時間になっても始まる気配がなく、舞台右端に置いてあったレンガ調の大きな板をスタッフが片付けるように左手に運んでいきます。

真ん中で一度止まり、また動き出すと板の後ろから生田斗真さんと菅田将暉さんが現れ、なんともしれっと舞台が始まったのです。

 

2人が現れてから、客席の照明が暗くなるという通常の始まり方ではない始まり方をしており、この演出には驚きでした。

セットらしいものがなく、ステージの装置や骨組みが見えている状態。世界観を作りこんでいないような空間であえて見せているのが、かなり秀逸でした。

 

 

 

最後、ローゼンクランツとギルデンスターンはハムレットの筋書き通り死んでしまいますが、殺されるシーンはありません。「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」の一言だけで表現されます。

 

しかし最後、真っ暗なステージの中、ライトが菅田将暉さんをひとり照らし、この運命に対するギルの心の叫びを話すのです。そのなんとも言えない表情と情景にロズとギル2人の哀しい運命が映し出されておりました。

 

 

 

戯曲は非常に難しく、苦手意識を持ちやすい。

私も最初は古典戯曲の内容に理解が追い付けず苦手でした。

 

しかし、抽象的な分、様々な解釈ができるのも戯曲の素晴らしい点。そう思うと苦手意識はなくなり、むしろ今は積極的に観劇しています。

 

本作品をきっかけに、皆様も様々な戯曲に触れてみてはいかがでしょうか!

 

 

 

【公演情報】

 

 

シス・カンパニー「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」

 

 

出演者:生田斗真菅田将暉林遣都半海一晃、安西慎太郎、田川隼嗣、林田航平、本多遼、章平、長友郁真、松澤一之、立石涼子小野武彦

 

 

公演日:2017年10月30日(月)~11月26日(日) 世田谷パブリックシアター

 

 

観劇日:2017年10月31日(火)19:00公演

 

 

 

『髑髏城の七人 Season風』を観劇した感想(ネタバレあり)

第22回目のレビューは、IHIステージアラウンドこけら落とし公演第三弾、劇団☆新感線『髑髏城の七人 season風』です!

 

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客席回転型劇場「IHIステージアラウンド」のこけら落とし公演として、1年3か月にわたるロング公演を行う劇団☆新感線『髑髏城の七人』。

 

 

5つのシーズンに分けて上演する本作。その第三シーズンとして公演中の"season風"は、捨乃助と天魔王を一人が演じるという、かなり面白い設定へ変更された、前2シーズンとは大きく異なる「髑髏城の七人」でした!

 

 

※「髑髏城の七人Season花」(小栗旬主演)は第12回レビューに掲載

「髑髏城の七人 Season花」を観劇した感想(ネタバレあり) - 若者による若者のための観劇レビュー

 

※「髑髏城の七人Season鳥」(阿部サダヲ主演)は第18回レビューに掲載

『髑髏城の七人 season鳥』を観劇した感想(ネタバレあり) - 若者による若者のための観劇レビュー

 

 

 

松山ケンイチ VS 松山ケンイチ

 

捨乃助と天魔王の二役を演じたのは、松山ケンイチさん。

 

捨乃助を演じられているときは、陽気で楽観的。喋り方も軽く、純粋さや少年ぽさを併せ持つポップなキャラクター。初演の古田新太さんやSeason花の小栗旬さんが演じられていたときような、女好きな部分も見え隠れする、"遊び人"なイメージを踏襲していました。

 

一方、第二幕で登場する天魔王を演じられているときは、豪快で冷酷、声も低くてゆったりと重たい。Season花やSeason鳥よりもビジュアルを信長に寄せており、いまは亡き君主、信長の野望を達成しようとする天魔王の思いが強く表れておりました。

 

 

一人二役というのは、もともと捨乃助と天魔王は、かつて君主信長につかえる影武者として活躍していた、"同じ顔を持つ男"という設定です。

そして、捨乃助と天魔王、そして同じく信長に仕えていた蘭兵衛の三人は、信長を失ってから生きる目的を失い、ばらばらの道を歩むこととなったのです。

 

 

昔は同じ方向を向いて共に闘ってきた三人が、ばらばらになって、敵対する相手となってまた再会するというこのストーリーは本当に観ていて分かり易いですよね!それが長い間この作品が愛されている理由の一つだと思います。

 

 

何といっても松山ケンイチさんの、捨乃助と天魔王の演じ分けがこの舞台のキーポイントになってきます。松山ケンイチ松山ケンイチが対峙する構図になるわけです。

もちろん、実際の舞台上で直接顔を合わせて対峙することはできませんが、そう想像させることができる演出になっていたのが驚きです。

 

 

とにかく松山ケンイチさんの演じ分けが凄まじかったんです・・・。

捨乃助は、一見すると陽気で遊び人だけど、闘いとなるとめちゃくちゃ強く、情に厚いキャラクター。Season花の小栗旬と描き方が似ているため、別物と思いながらもどうしても比べてしまったのですが、松山ケンイチさんの方が"陽気"という要素が全面に出ていて、殺陣のかっこいいシーンとのギャップが大きい。だからこそ、捨乃助の歩んできた辛い過去がより強調されていたのでは、と感じました。

 

 

そして、陽気な喋り方に強弱がはっきり付いていることで、感情が声に乗っていて、捨乃助の理想像にいちばん近いと思いました。めちゃくちゃかっこよかった・・・。

 

 

一方の天魔王。

あまり声が荒げず、淡々と、説き伏せるようにして蘭兵衛に語りかけるその姿に恐怖を感じました。権力を使い、目的のためなら手段を選ばないという信長の意思を表情や立ち振る舞いや声から感じました。

本当に捨乃助を演じていた人と同一人物なのか!?と思いたくなるほど別人です。演じ分け、凄まじかったです。

 

 

映画やドラマじゃ魅力がすべて伝わらない、舞台映えする人なんですね・・・。は~こんなにかっこいいとは思わなかった・・・♡笑

 

 

今回最長の殺陣シーン

 

無界屋蘭兵衛を演じるのが、劇団新感線初参加となる向井理さん。

 

舞台を観る前から、蘭兵衛さんにぴったりだな~と思っており、どんな蘭兵衛さんを演じられるのか楽しみにしておりました。

本格的な殺陣が初挑戦だそうで、前シーズンの早乙女太一蘭兵衛を観たあとということもあり、殺陣のクオリティが少々気になってしまったのですが、佇まいに凛々しさや色気があって、蘭兵衛さんそのものでした!

 

蘭兵衛さんが無界屋を守るため、一人髑髏城に向かうシーンは圧巻で、白い花畑から客席を回転させながら荒野へ移動し、髑髏城の前まで闘い続ける殺陣は、今回の舞台の中で最長のシーンだそうです。

その殺陣の中には移動しながらプロジェクションマッピングを用いて相手を斬り殺すような演出も含まれており、Season花や鳥にはなかった演出が取り入れられておりました。

 

 

蘭兵衛と天魔王が対峙するシーンで見どころの一つなのが、夢見酒を口移しで飲ませるシーン。

今までは一度のキスで夢見酒を蘭兵衛に飲ませていましたが、今回は二度!

一度目は蘭兵衛に昔の記憶を呼び戻させるために、二度目は夢見酒を飲ませるためにだそうです。

確かに、天魔王が夢見酒を口に含んでいない状態でキスをしたので、何事!と思ったのですが、そのあとの蘭兵衛の表情は、"はっ"と我に返ったような、目の前の天魔王を信長と重ね合わせているような表情をしておりました。

 

 

 

 そして、かなり衝撃を受けたのが第二幕の天魔王と蘭兵衛が無界屋を壊滅させるシーン。

天魔王はもちろん松山ケンイチさんが演じているのですが、天魔王と蘭兵衛が容赦なく遊女たちを斬り殺していく様が、第一幕の無界屋での捨乃助と蘭兵衛のシーンとあまりにも違いすぎて、同一人物が演じているからこその恐ろしさというか、残虐さがより際立っておりました。

 

無慈悲に斬り殺していく天魔王が捨乃助ではないことはわかっているんですけど、わかっているんですけど!重ね合わせてしまう・・・。

 

天魔王と蘭兵衛、ふたりとも何とも言えない冷酷な目をしてました・・・。恐ろしかった・・・。

 

 

小ネタが多いSeason風!

 

 

とにかく笑っちゃうポイントがとても多かったです。

もちろんシリアスシーンは固唾を飲んで観ていますが、随所に笑ってしまうシーンが沢山ありました。

前シーズンの阿部サダヲさん主演「髑髏城の七人Season鳥」は"オモシロドクロ"などと言われており、笑いの要素が盛り込まれていましたが、今回もかなり面白い!

私個人の意見ですが、オモシロドクロよりオモシロかったのでは・・・(笑)

 

それは何と言っても笑いが取れる役者さんがそろっているということ。

兵庫役の山内圭哉さん、贋鉄斎役の橋本じゅんさん、狸穴二郎衛門役の生瀬勝久さんなど、どこからがセリフでどこからがアドリブなのか分からないくらい、がっぱがっぱ笑い取ってました。もちろん、松山ケンイチ捨乃助も笑っちゃうシーンが多く、名前をコロコロ変えるキャラクターなもんだから、贋鉄斎に「今は名前なんだっけ?L(エル)?」と言われて、「違うっっ!!!」ってツッコんでました(笑)

笑ったり、切なくなったり、かなり盛りだくさんで大満足な作品でした!

 

 

 

本公演は11月3日まで上演されております。

少々お高いチケットですが、行って損はさせません!言い切ります!それ位素晴らしい作品でした!

 

 

みなさまもぜひ行ってみてください!!!

 

 

【公演情報】

 

『ONWARD presents 劇団☆新感線 髑髏城の七人 season風』

 

 

出演者:松山ケンイチ向井理田中麗奈橋本じゅん山内圭哉岸井ゆきの生瀬勝久・・・etc

 

 

公演日:2017年9月15日(金)~11月3日(金・祝) IHIステージアラウンド東京

 

 

観劇日:2017年10月7日(土)14:00公演

 

『AMADEUS』を観劇した感想(ネタバレあり)

第21回目のレビューは、松本幸四郎さん主演の『AMADEUS』です。

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アマデウスは1982年の日本初演以来、幸四郎さん主演で何度も再演がなされ、上演450回を迎える傑作です。

 

 

1982年……私の生まれるだいぶ前から上演され続けている作品と思うと、どれだけ長い間人々に愛されている作品かということが分かります。

 

 

 

今回の上演で、幸四郎さんは『最後のアマデウス』と公言されており、非常に注目されております。

 

 

 宮廷作曲家として地位や名誉を獲得していたサリエーリ。

そして彼の前に現れた天才音楽家”モーツァルト”との確執や葛藤を描いた作品です。

 

 

努力の凡人 サリエーリ 

 

 

音楽の才能が自分よりも秀でているモーツァルトに対して、様々な方法で彼に勝とうと躍起になるサリエーリ。生まれ持った才能を持つモーツァルトに対して、彼は努力しても報われない。どんなに努力しても天才に勝つことのできないサリエーリは、いつまでも拭うことのできない悲壮感に満ちておりました。

 

 

サリエーリは天才に限りなく近い努力の凡人、一方でモーツァルトは天才だけれど若いこともあって幼稚で常識知らず。

 

 

そんな全く異なる二人の音楽家の対比がとても面白く演じられておりました。

 

 

 

モーツァルトに対して一生拭うことのできない敗北感に苛まれ、最後には殺意にまで発展してしまったサリエーリの感情の波が私たち観客にまで押し寄せてきたのです。

 

 

音楽を理解しているからこそモーツァルトの才能を評価せざるを得ない、モーツァルトには絶対に敵わないことを理解してしまっているからこそ、自分が神に選ばれた人間ではないことを受け止めるしかない。モーツァルトに対する屈辱や嫉妬や悪意の念がいくつも混ざり合って、一言では語り切れない感情の渦にサリエーリは飲み込まれたのです。

 

 

 

しかし、人間としての”妬み”や”嫉み”という、誰しもが持っている感情を描いている作品だからこそ、私たちは努力の凡人、サリエーリに共感してしまうのかもしれません。

 

 

 

サリエーリを演じる幸四郎さんは受け手のシーンが多く、そしてその状況を私たち観客に説明しつづけるため出ずっぱりでした。そして圧倒的な存在感で、モーツァルトを追いつめていくのです。

 

ここまで一人の役者が舞台上に居続ける作品は、記憶の限りですが観たことがありません。舞台の幕が下がるまでの約2時間半、ずーっと私たちに語りかけてくるのです。

 

 

 

ストーリーは老人のサリエーリが私たちに自分の過去を話し始める場面から始まります。そして、約40年前彼がまだ宮廷作曲家として活躍していた頃に移ります。幸四郎さんは老人の頃と40年前のサリエーリを演じ分けるのですが、仕草はもちろん、全く異なる喋り方で演じ分けておられ、声だけでも年齢を感じとることができました。

 

 

 

幼稚かつ傲慢な天才 モーツァルト 

 

天才的な才能を持ちながらも幼さや純粋さ、傲慢さも併せ持つモーツァルトを演じているのが、ジャニーズWEST桐山照史さん。桐山さんは朝ドラ「あさが来た」にも出演されており、ジャニーズの中でも演技派なイメージを私は持っています。

本作品のモーツァルトは、第1幕はとにかく幼稚で傲慢で、これでもか!と舞台上をかき乱すようなキャラクター。発する言葉も下品なものが多く、ジャニーズという枠をいい意味で壊している・・・(笑)そのため、そのギャップがかなり面白く感じました。

しかし、第2幕になるとキャラクターが一転。サリエーリの思惑によって幸福な人生から転落したモーツァルトは、仕事を失ったうえに病気を抱え、妻や子供にも出ていかれるという散々な日々。第1幕のきゃっきゃと騒いでいたモーツァルトは一体どこに行ったのか・・・。あまりにも1幕と2幕でキャラクターの描かれ方が大きく変わるので、桐山さんの演じ分けにとても驚きました。どちらもかなりの熱量が必要ですし、同一人物とは思えないくらいでした。

 

 

舞台のラスト、サリエーリとモーツァルトがお互いに神経をすり減らしながら対峙するシーンは、息をするのを忘れるほど痺れました・・・。

相手を破滅させようとする人間の姿、そして極限まで追いつめられた人間の姿。

どちらも見てはいけない人間の根幹を見ているようで、胸が張り裂けそうでした。

 

 

サリエーリがモーツァルトの素晴らしい才能に翻弄される人生を描いた本作品は、人間の弱い部分を映し出した、どこか他人事とは思えない苦しい作品でした。

 

 

私が観劇した日はカーテンコールが4回もあり、最後はスタンディングオベーション。私の観劇経験において、スタンディングオベーションまで起こった作品は2、3作ほどしかないのですが、本作品はその賞賛に値する素晴らしい作品でした・・・!

そして、幸四郎さん、桐山さんの素晴らしい演技をこの目で観ることができて、演劇鑑賞の素晴らしさを再確認したのでした・・・!

 

 

 

熱く語ってしまい、かなりの大作レビューになってしまいました・・・(汗)

アマデウスは地方公演もありますので是非足を運んでみてください!

 

 

 

【公演情報】

 

 

『AMADEUS』

 

出演者:松本幸四郎桐山照史大和田美帆・・・etc

 

 

 

東京公演:2017年9月24日(日)~10月9日(月・祝) サンシャイン劇場

大阪公演:2017年10月13日(金)~10月22日(日) 大阪松竹座

福岡公演:2017年10月24日(火)~10月25日(水) 久留米シティプラザ

 

観劇日:2017年10月4日(水)18:00公演

 

『百鬼オペラ 羅生門』を観劇した感想(ネタバレあり)

第20回目のレビューは、柄本祐・満島ひかり吉沢亮らが出演する、Bunkamuraシアターコクーン『百鬼オペラ 羅生門』です。

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本作は、芥川龍之介の代表作「羅生門」や「蜘蛛の糸」「藪の中」「鼻」を「羅生門」の主人公、"下人"の人生と絡ませ、ひとつのストーリーとして描き出した作品です。

 

芥川龍之介の作品をオペラに乗せて、というのはどういうアプローチの作品なんだろう、と自分の中でイメージできず、観劇前までかなり不安でした。

 

 

そのため観劇前に劇中で使用される芥川作品4作品を読んでから臨んだのですが、かなり功を奏しました。これから観劇する予定の方は、あらかじめ本作で使用される芥川作品を読んでいくことをおすすめします!

 

 

ステージ上には丸みを帯びた木枠。その木枠の向こう側で繰り広げられる芥川龍之介の世界。木枠が絵本の縁のようで、まるでからくり絵本を見ているような気分になりました。ステージ上で絵本の登場人物がストーリーを進めているような感覚。

 

 

全体的な色味や小道具、セットの全てが何故か懐かしい気持ちにさせてくれるのです。ふと思ったのですがNHKの"みんなの歌"のオープニングみたいだな、と。ほっこりする世界観でした。

 

 

羅生門に登場する下人が歩む"夢の中"を軸に、いくつもの芥川作品が絡み合ってストーリー進んでいきます。

次から次へといくつもの作品が継ぎ目なく進んでいくので、どこからが下人の"夢の中"でどこからが"現実の話"なのかが分からなくなりそうでした。

全体を通して、演者が空中に浮遊する演出が多々取り入れられており、それらのシーンでは非現実的な印象を持ちました。

 

 

 "下人"を演じられたのが柄本祐さん。

やはり下人を軸にストーリーが進んでいくため、ほぼ出ずっぱり状態。なおかつ下人の夢の中で繰り広げられるストーリーの人物も演じるため、一度舞台袖に下がったと思いきやすぐ別の人物として登場するという、かなりハードな役柄を演じられておりました。

 

 

下人の夢の中に登場する、"女"を演じられたのが満島ひかりさん。

劇中、歌を歌うシーンがあるのですが、満島さんは最近歌手としても活躍されておりますし、綺麗な透き通った声が会場中に響き渡っていました。

 

「藪の中」にて殺されてしまう夫の役は吉沢亮さんが演じられておりました。吉沢さんは今人気急上昇中の若手俳優ですが、ただ、かっこいいだけではない。かなり演技派であることをこの舞台で証明したのではないでしょうか。

途中、吉沢さんの15分弱程ある独白のシーンがありました。ひとつひとつの言葉に感情を乗せて、身を削るようにして話すその姿に、とても心揺さぶられたことを覚えています。

 

 

 

かなり抽象的で、なおかつ高尚な作品ではありますが、素晴らしいものを見せていただいた、そんな気持ちになりました。

 

皆様もぜひ見に行ってみてください!

 

 

 

また、ここでお知らせです。

本サイトを開設して今月で1年が経ちました。そして先月から本サイトの観劇レビューが観劇レビューまとめサイト「演劇感想文リンク http://engeki.kansolink.com/」にリンクいただいております。そちらも是非ご覧ください。

 

 

 

【公演情報】

 

 

『百鬼オペラ 羅生門

 

 

出演:柄本 佑、満島ひかり、吉沢 亮、田口浩正小松和重銀粉蝶・・・etc

 

 

 

東京公演:2017年9月8日(金)~9月25日(月)  Bunkamuraシアターコクーン

 

兵庫公演:2017年10月6日(金)~10月9日 (月)  兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

 

静岡公演:2017年10月14日(土)~10月15日(日)  富士市文化会館ロゼシアター大ホール

 

名古屋公演:2017年10月22日(日)  愛知県芸術劇場大ホール

 

 

 

観劇日:2017年9月17日(日)17:30公演